コゼンツァの自宅から車で30分のシラ国立公園(Parco nazionale della Sila)。ここはかつて、コセンツァ市と近郊の村々の家庭で欠かせない燃料だった炭の生産地でもありました。かつて、といっても戦後すぐはまだたくさんの炭焼きの人たちがいて、ロバに炭を乗せた炭売りが徐々にトラックで運ばれるようになり、シラ国立公園内の電気の到来(60年代後半)とともに徐々に数を減らしたそうです。
今でこそ国立公園として自然が大切に保護されているけれど、かつては生活の為に木を伐り炭焼きしていました。現在のシラ国立公園がある地域の炭の作り方は、木を切った場所で櫓状に組み上げた木材で炭を作るもの。
炭焼き小屋があるわけではなく、木を切った場所でいちいち炭焼きしていたそう。効率が良いような悪いような。。
現在シラ国立公園内のある施設内に、この地域最後の炭焼きの人に作ってもらい保存してある当日の炭焼きの方法を見ることが出来る場所が設置されていて、たった数十年でこの木組みをできる人もいなくなってしまった今、大変貴重な資料になっています。
真ん中に穴が開いている、櫓状に木を組みまして。
周囲を泥やら干し草やらで囲います。点火は上の穴から行うので、ハシゴが必須。このハシゴを使い、最上部から火種を投げ込み、上部を木で囲って屋根のようにしたら炭が出来るまで放置です。
なんとものんきに聞こえるけれど、炭焼きの仕事は重労働。深い山のなかで木を切って炭にし、道なき道を炭を持って移動していた炭焼きのひとたち。
生前、義父が「炭焼きの人は美味しく安価な定食屋を知っている」と1度だけ話題にしたことがあったけれど、まさかこんなに最近までこの仕事が存在していたとは知りませんでした。
この炭焼きの様子、シラ国立公園内のトレッキングコース内に設置されています。コース自体は小学生ならOKの優しい物ですが、車が無いと絶対にコース入口までたどり着けません。
このトレッキングコース&炭焼きの様子のジオラマ(?)、気になる方はご連絡ください。