トロペアから少し内陸に入った丘の上の街・ズングリ（Zungri）。
この街の崖下には、4世紀ごろから18世紀にかけて作られたという洞窟遺跡群があります。
小さなカッパドキアとも呼ばれるズングリの洞窟遺跡群。まだ解明されない謎だらけの史跡です。
ズングリの洞窟遺跡群とは
4世紀（一説には7世紀）ごろから18世紀ごろまで、岩肌をくりぬいて住居や穀物貯蔵庫としていた人々が住んでいた跡、それがズングリの洞窟遺跡群です。
およそ8000㎡の地域に様々な洞窟遺跡が残っていて、そのうちおよそ3000㎡を史跡公園として訪問可能な状況に管理しています。
この洞窟を作った人たちがどこから来たのか、どういった生活をしていたのか、そして彼らはどこへ行ってしまったのか、全く資料がないため研究が進んでいません。
ただ、石の加工に大変優れた人たちであったことは確か。
この為、おそらく東方からやってきた人たちのグループではないかと考えられています。
見学の仕方と遺跡内部の様子
まず、遺跡入り口で入場料をお支払い。
2025年の段階で、大人4ユーロです。カード払いもOK。
入り口建物内では、生活の道具とともに、ズングリの人々のかつての生活の様子なども展示してあります。
遺跡説明のビデオを鑑賞した後、いよいよ洞窟遺跡群の見学へ。いったん建物から出て、脇の道をどんどん下って行った先が遺跡群です。
見学ルートはしっかり作ってあるので、迷うことはありません。
場内がこのような状況なので、自力歩行できない方の入場は残念ながら不可能です。また、お子さんを抱っこして移動する場合も大変危険なので、訪問をお勧めできません。
動きやすい服装で訪問してください。
まず遺跡の一番下まで下りてしまい、そこから徐々に登っていくと体力的に楽なのと、遺跡群の成り立ちを知ることができて良いかなと思います。
遺跡は、下層が最も古く、村に近づくにしたがって新しくなります。
この為、下の方の洞窟では用途を替えて増改築した跡も見ることができます。また、生活に欠かせない水場が上手に作られているのを見ることができるのも下の方。
入り口に宗教的なモチーフを持つ洞窟もあったりして、小規模ながら見ごたえがあります。
遺跡の上の方では、つい最近（といっても200年ほど前）ごろのものかな？といった細工が施されている箇所も。
訪問したいけれど時間がない！という時は、古い時代のものを見ることができる遺跡の下の方を重点的に見学するとよいかもしれません。
入り口建物から遺跡見学ルートの一番下までおよそ10分ぐらいですが、基本的に一本道なので、混雑していると移動自体に時間がかかりそうです。
見学所要時間は、ざっと全体を見て1時間、ゆっくりじっくり見て3時間くらいです。
遺跡の最下層に小さなピクニックエリアもあるので、お弁当持参の見学も楽しそうですね。
もっと詳しく知りたい方用に遺跡用の専用アプリもあって、説明を見ながら場内を見学することもできます。
マテーラのサッシとどう違うの？
洞窟遺跡といったらマテーラのサッシ（Sassi di Matera）。
ズングリの洞窟遺跡は、マテーラのような複数の部屋がつながっていたり、大きな一部屋ところがとても少なく、どちらかというと８畳ほどの小部屋の中に火を焚きつける場所があったり、別の一部屋が貯蔵庫であったり…と、小部屋の横穴がたくさんある、といったあたりに特徴があります。
また、マテーラのようについ最近まで人が居住していたわけではないので、ここは寝床、ここは家畜スペース…といった住み分けも見ることはできません。
洞窟内に階段があったり、明らかに木造の2階構造であった跡はあるけれど、まだ研究も始まっていないので謎が多く仮説だらけの状況。ただ、人の手で岩肌を削って様々な用途に合わせた小さな集合体というか村のような物があったらしい場所、それがズングリの洞窟遺跡群です。
ロマンしかない。
ズングリの洞窟遺跡群への行き方
ズングリへは車がないと到達できません。
ズングリの街は海沿いの街道から内陸に向かって15分ほど車で登った先にあり、洞窟遺跡も街の中心部から入るようになっています。
遺跡まではナビを使えば普通に到達できます。途中に道路標識もしっかりありました。
駐車場が狭いので、洞窟遺跡入り口方面に向かう途中にある教会近辺に駐車して、2分ほど徒歩で向かっても良いかなと思います。
遺跡近くにレストランやバーもあることになっていますが、閑散期は営業していないことの方が多いので、その点には十分ご注意を。
Le Grotte di Zungri
Insediamento Rupestre e Museo della Civiltà Contadina di Zungri
住所：Via Indipendenza, Zungri
営業時間：9時～18時（休業日はないことになっていますが、祝祭日に臨時休業することもあるとのこと）
入場料：4ユーロ
