Civita/アルブレーシュ(アルバレッシュ)の人々が住むイタリアの美しい村チヴィタ。最後に注意情報あります

カラブリア州コセンツァ県の北、ポッリーノ国立公園の入り口に当たる場所に、アルブレーシュと呼ばれる人たちが住む村チヴィタ(Civita)があります

目次

アルブレーシュ(アルバレッシュ)の歴史概略

イタリアにおいてアルブレーシュ(アルバレッシュとも)は、現在のギリシャ北部~バルカン半島ぐらいの地域に暮らしていて、イタリアに移民してきた人々のこと。今からおよそ600年程前のオスマントルコの侵攻から逃れ、カラブリアに移住してきた人たちが第一陣と言われます。
移住はその後戦争の度に行われ、最後の移住は第2次世界大戦の頃のこと。

イタリア各地に彼らの住む町が点在しますが、特にイタリア南部に集中するアルブレーシュの人々が暮らす街のうち、およそ2/3にあたる数の村々がカラブリア州コセンツァ県内にあります。このうちチヴィタは、もともとあった廃墟の上におよそ500年ほど前に作られた街といわれています。

ポッリーノ国立公園の険しい山肌に作られたチヴィタは遠くにイオニア海を臨み、海の向こうは懐かしい故国なんですよね。帰りたいけど帰れない、そんな辛い思いを胸に生活をしてきた人たちの村です。

アルブレーシュの人たちは、独自の文化を今に伝えていて、言葉ももちろんイタリア語ではありません。テレビの普及とともに失われつつある母国の言語(といっても現在は古語)を復活させる動きも活発です。

アルブレーシュの村に近づくと、道路標識も大抵2か国語表記になります。なお、チヴィタ内では彼らの言語だけの標識もあります。(わたくしは全く読めません)

チヴィタはこんなところ

ラガネッロ渓谷に沿って作られた村内には3つの水くみ場があります。
上から「上の泉」「中の泉」「下の泉」と呼ばれ、訪問者が到着するのは「下の泉」。水くみ場が広場になっており、ここが村の中心で市庁舎もここにあります。この広場周辺から観光を始めるのがおすすめ。
小さな(でも見ごたえのある)郷土文化資料館、お土産物屋、郊外の景勝地までジープを出す会社、村一番の教会などもここにぎゅっとまとまっています。

イオニア海を遠くに臨むチヴィタは、コセンツァ県内に30を超えるアルブレーシュの村のなかで真っ先に「イタリアの最も美しい村」選ばれました。
それは、もともと「イタリア人」が暮らす街に近く比較的開けた村であったことと、ラガネッロ渓谷の美しさによるところも大きいと思います。このラガネッロ渓谷は絶対見学すべき。

イタリア好き委員会さんのカラブリア特集号(Vol.34)で表紙にしてもらった友人のステファニアですが佇んでいるのがラガネッロ渓谷の崖っぷちですが、写真では全く雄大さが伝わらないので。絶対に見晴台へ行ってください。

そして渓谷の下を流れるラガネッロ川には橋が架かっていまして、これが有名な「悪魔橋(Ponte del Diavolo)」と呼ばれる景勝地になっています。

村内には某建築家の名がついたなにやら顔に見える特徴的な建築様式も残ります。
私がご案内する際は、なぜこんな建築だったのか、などの周辺文化も合わせてご説明しています。

酪農をしてきた人々だけに、山羊渋滞に会うこともあります。
渓谷の日中の様子と全く異なる夜の顔、村を渡る風の音。
ポッリーノ国立公園のおいしい物をいただきながらゆっくり滞在したい場所です。

イタリアの中の異文化に触れる

周辺文化と言えば。
ぜんざいはカトリックの一派にはなっていますが、アルブレーシュ(アルバレッシュ)の人々が信仰するのは東方教会系の一派(グレコビザンチン)です。宗教行事のカレンダーや教会建築様式に一般的なカトリックと大きな違いがあります。
教会内を見学する際は、ミサをしていない時間帯にそっと見学してください。

チヴィタへの行き方

コセンツァから車で1時間ほど。
バスだとちょっと大変ですが、カストロヴィラリからチヴィタ方面行きバスがあります。
鉄道はVillapianaかSibariが最寄ですが、駅からバス利用で到達するのは困難です。宿をとっているなら迎えに来てもらうか、Sibari駅を利用する際はタクシーで移動しましょう。(Villapiana駅前にはタクシーが常駐していません)

携帯会社によっては電波が入りません。
村人に知人が多く、顔が割れている(←言い方!)私が同行中のトラブルは発生していませんが、個人で訪問された方で押し売りの被害にあったという報告を受けています。(事後対応のため連絡がありました)

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この記事を書いた人

澤井英里のアバター 澤井英里 Sawai Eri

イタリア半島の南端・カラブリア州在住。普段は専門職、趣味で現地コーディネーターやアテンド、通訳などをしています。一応ソムリエ。かに座のAB型。

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