イタリアで運転できると、とても便利なのは言うまでもない事ですね。
特に公共交通網が不便なカラブリア州で運転できると、途端に行動範囲が広がります。次回の旅行で運転してみようかなという方に向けて、カラブリア州内で特に重大事故が発生しがちなポイントを以下に解説しました。ご参考にどうぞ。
レンタカーを借りる際についてはこちらを
なお、自分は安全運転をしていても貰い事故もあるし。
車の運転をする/しないの際にもしもの事を考えるのも大事
私そういえば、レッカー車のお世話にもなったことがありますわ。
運転していると色々ありますよね。
自分語りはこのくらいにして。
カラブリア州で運転をするなら、注意すべきポイント・エリアを一気にご紹介します。
カラブリア州の主要道路はこんなカンジ
こちらがカラブリア州全図で、地図内の黄色い線が主要道路です。
コセンツァ市を貫通し、レッジョカラブリアまで至る黄色の太めの線が高速道路A2号線。
州の東側、海岸線沿いを走る道が国道106号線、西側の海岸線沿いは国道18号線です。
A2号線はサレルノからA1号線と名前を変えてミラノまで貫通しているイタリアの背骨ともいえる高速道路で、実はサレルノ以南は無料です。(2023年1月現在)
周知のようにナポリは地図の上の方。
カラブリア州で運転するよという方は、ナポリ方面(もしくはプーリア方面)から車で南下するか、州の中央部ラメッツィアテルメか州南部レッジョカラブリアにある国際空港でレンタカーを借りて…というのが通常ルートではないかと思います。
この高速道路・国道ともにそれぞれ危険な区域があるのと、最近重大事故のニュースをよく聞くなという場所を以下にピックアップしました。
それでは、カラブリア州内で重大事故の発生するポイント3か所と、これらの箇所で重大事故が発生しがちな理由&おまけをご紹介します。州内運転の機会がある場合にご参考にどうぞ。
重大事故頻発地域1:高速A2号線上
高速A2号線を利用しコセンツァからレッジョカラブリア方面に下る際、Cosenza(コセンツァ)~Altilia(アルティリア)出口にかけての区間は交通の難所として知られています。
特にコセンツァの次の出口であるRogliano(ロリアーノ)出口付近からAltilia(アルティリア)出口にかけてのおよそ20㎞は、イタリア国内でも最も運転し難い高速道路の1つという悪名高い箇所です。
なぜか
こちら、通常の高速道路の写真です。
写真右側の壁に近い車線から、緊急車両用道路でもあるいわゆる路肩、走行車線、追い越し車線、中央分離帯、です。これが普通の高速道路。
ところがRogliano~Altilia間は、この路肩がありません。
大切なので2度言いますけれど、路肩がありません。上下線とも。
そして峠越えをする古い道を再利用している為、道路幅が古いスタンダード。
つまり、道路幅がとても狭いです。大型トラックが白線を踏まないと自分の車線にいられない…なんていう箇所もあります。
さらにさらに、かつての中央道(←ご存知ですか?)も真っ青のきついカーブ、きついカーブの先に突然現れるトンネル、トンネル内のきついカーブ、トンネル出口のカーブ&カーブな作り。
とにかく運転し難い!!!!!!!のです。
どのくらい危険かというと、110㎞/hが標準速度なイタリア高速道路なのに60㎞/hの表示のある個所があるくらい。特に古いトンネルの入り口は見た目とても狭くなっていて、ここで思わずブレーキを踏んでしまいスリップからの自損事故や追突事故を誘発してしまうケースが多い印象です。
この道路は古い時代に山を切り開いて作ったのでカーブが多いのは仕方ないのだけれど、実は最近、国が路肩整備を放棄したので、今後も大変危険な約20㎞はそのまま残る事が決定しています。
つまり、この先10年ぐらいは「イタリア国内でも最も運転し難い高速道路の1つ」の汚名返上はできない見込み。
なお路肩が無いので、事故が発生すると当たり前だけど大渋滞になります。
そして渋滞発生時の解決策・反対側車線に車を逃がすなども出来なども場所が多く、渋滞にはまったら祈るしかない。しかもSAが無い区間なので、お手洗いなどに行けないです。辛い…
ただ、地元民はみんな知ってる難所なので、観光ローシーズンに重大事故が発生する割合は低め。
夏場など観光客が原因の事故はちらほらと効きますが、どちらかというと「超」が付くほど運転し難い場所なんだな、と覚えておくと良いかなーと思います。
重大事故頻発地域2:国道106号線上
観光客の増える時期、特に春から秋にかけて重大事故が多発するのが国道106号線です。
国道106号線はイオニア海側の都市を結ぶ国道で、プーリア方面への移動に使う幹線道路。
海沿いを走る本線と少し内陸を走る副線の2本があります。どちらもたっぷりした道幅、平地を走るので見通しの良い所が多いにもかかわらず、頻繁に死傷者が出る重大事故が発生するので「死の国道」などと不名誉な名前を付けられています。
ご参考までに2022年6月19日のローカルニュースサイト記事。「またしても国道106号線で死亡事故発生。バイク運転手が死亡」という見出しで重大事故発生を伝える物。サブタイトルに「La strada della morte(死の国道)」の文字が見えます。
国道106号線で発生する事故の特徴として、制限速度オーバーの車両による事故が多いという点があります。
見通しが良く平地を走る道路の為、地元民ほどすっ飛ばす傾向が強く、速度が出ている分重大事故になってしまうのです。
とても多いのが、トロトロ走る車を無理な追い越しで反対車線にはみ出した結果、対向車と正面衝突という事故。普通に走っていた対向車にとってはとんだ災難な貰い事故ですし、大抵車は大破し亡くなる方が出ます。
また、整備不良の道路に足回りを取られ、車やバイクのコントロールを失って重大事故というケースもとても多く、記事のバイクもこの完全自損事故の模様。コントロールを失った車両に巻き込まれる形で貰い事故にあってしまったケースも多々あり、私もあの辺りを運転する際はいつも以上に緊張します。
とても走りやすい区間でもある為スピードが出やすいのですが、シバリの古代遺跡などを見学に行く際やプーリア方面への移動に利用する際は注意してください。
重大事故頻発地域3:国道107号線
ティレニア海側のPaola(パオラ)とイオニア海側のCrotone(クロトーネ)を結ぶのが国道107号線。
107号線はシラ国立公園を横断する為、観光客も多く利用する道路です。
パオラからコセンツァまではトンネルもある山道ですが、運転し難いことも無いし、基本的に片側1車線(ゆったり作ってある車線です)なので無理な追い越しをする車も少なく、山越え区間中の事故は…まぁ全然ないわけではないけれどさほど多い印象はありません。
事故が多いのは、コセンツァ到着直前の区間とコセンツァ市を通り抜け、シラ国立公園内に入ってから。
コセンツァ到着直前はレンデという街を通過するのですが、脇道から本線に入りたい車との接触事故が多発する地点があり、重大事故が続けて発生したため、行政によって「ここは危ないよ!」とマーキングされている地点が複数あります。
こういった場所は、減速の表示や道路がガタガタする様に塗装されていたりするので、すぐに気が付くと思います。大学も近く、なんというか…無謀な若人(?)なども多くいるエリア何だなーと思って少し注意していれば大丈夫かな。
ところで。
コセンツァ通過後の107号線は、シラ国立公園を横断します。
高原地帯の森林域を通過するとてもきれいな場所なのですが、ほぼ2車線かな?という位の道路幅がある箇所で無理な追い越し→正面衝突と言った事故が意外に多い場所です。イタリア人というか欧州人は、先がカーブで見通しの悪い登りでも車線はみ出して平気で追い越しかける人がいるから怖いよね。
シラ国立公園内は多くの地元民が別荘を持っている為、山の中の一見何もない、でも実は別荘地付近という場所で突然スクーターが増えたりするのも特徴です。地元民のため無理な運転をするスクーターも多く…こちらが加害者にならないような注意も必要。なお、飲酒運転だろうなという様子でふらふらしているスクーターもよく見かけますので要注意です。ほんと、あれに出会うとコワイんだ…
追加情報として、107号線のシラ国立公園入り口付近から速度制限規制が厳しくなっています。
例えばコセンツァ市から登っていく辺りには、規制区間内の平均速度(70㎞/h)を見るネズミ捕りの機械が設置されている区間が2つあります。
カラブリア州の割りに()しっかりとした機械をつけているので、違反者にはたとえ日本に住所のある方にでも罰金請求が届くのでご注意を。
州内にはネズミ捕りの機械が設置されている場所が複数あって、規制区間の平均速度を測る場合、ネズミ捕り機の前を通過した際の時速を測る場合の2パターンあります。また、警察車両が臨時にスピードガン出してる場合もあるけど、これは稀。
イタリアは法律で「ネズミ捕りをしています」と告知する必要があって、その旨の看板が必ず大きく出ているので、そういったものにも注意しながら運転してください。
州内その他の危険な地点2か所とちょっとした運転の心得
カラブリア州内だけでなく、イタリアの高速はしょっちゅう工事をしていて、写真の様に突然1車線になったりします。
大抵はみんなで譲り合う場所なのだけれど、たまーに後ろの方からパッシングしながら猛スピードでやって来る バカ やんちゃな車や、「私は絶対あなたを入れない!!」と妙に頑固に道を譲らない車もいます。パッシングされても焦る必要は全く無いので、ゆったり運転しましょう。
以下では、重大事故発生率は低いものの、運転し難い地点と言われている場所を2か所をご紹介します。
カラブリア州内で運転が粗い人に会いがちと言われる地点がありまして、それが州都カタンツァーロ近郊です。
空港や特急停車駅のあるラメッツィアテルメと州東側のカタンツァーロを結ぶ道路は準高速道路と言った作りになっているのですが、州都カタンツァーロが見えて来たなぐらいのところから妙に運転の粗い車が多くなります。
運転の粗い車に出会ってしまったら、もしかすると非常にパッシングされるかもしれないけれど「私にパッシングなんて生意気な。さらに減速してやるわ!」ぐらいの気持ちで、落ち着いて走行車線をゆっくり走れば良いのではないかなと思います。(高速の最低速度は守ってね)
この道路、州都を通り過ぎると今度は海の方に下りて行く道となるのですが、ちょうどこの地点が大変わかり難い道路標識で有名な場所。そして、このあたりで非常にイラついた車や乱暴な運転に出会う確率が高くなります。なんだかわからないけど皆イライラしてる。カタンツァーロ怖いとカラブリアの他の地域に住む民に言われる所以がここに。カタンツァーロ、ホント怖い(笑
カタンツァーロ界隈を運転するよ!という観光客は少ないと思いますが、可能であればストリートビューなどで事前に道路の様子を確認しておくと安心です。
そして、カラブリア州内のとんでもなく運転し難い場所といえば、レッジョカラブリア市周辺の環状線E90号線が有名です。私もカラブリア州内で運転し難い場所No.1と言ったらココを挙げます。
高速道路を南下していると、そのままレッジョカラブリア市の外輪を沿う環状線に入るのですが、これがE90号線。地図上のレッジョカラブリア市周辺を赤く囲ったあたりが該当します。
この道、そのまま走っていると州の東海岸側を繋ぐ道に出ることができる便利な道でもあるのですが「リアルなマ×オカートかな??」と思うほどのグネグネ道・とんでもなく狭い道路幅・ぼっこぼこな路面・脇道から突然入って来る車・追い越し車線からぎゅーんっと走行車線を横切って側道へ出て行く車・イラつく地元車の間をゆったり時速20㎞/hで走ってるアペ(とてもかわいい三輪車)・追い越し車線でふらふらする過積載巨大トラック、などなどの素敵なハーモニー()を楽しめる難所でもありまして。
イタリアで運転が初めての方には、大変お勧めし難い区間となっています。ってかイタリアで運転怖いな、って少しでも思っている方はあの区間は絶対運転しない方が良いですよ。
軽度の接触事故は日常茶飯事で、軽度の事故は基本的に当事者間で解決するのがイタリア流です。地元民の英語使用率ははっきり言って低いので、イタリア語に自信がない方も出来ればこの環状線は運転しない方が良い。運転せざるを得ない場合は、朝の通勤や夕方の退勤時間と重ならない時間帯に通過するのが良いと思いますよ…
なんでイタリア語ができないと運転すること自体を考えた方がいいの?という方はこちらをご参考にどうぞ
さて。
最後まで読んでいただいた方には、イタリアで運転する上で大切なちょっとした(多分みんな知ってるであろう)うんちくを。
これ、とても大事。
入ったはいいけど抜け出せない旧市街地の細道に誘導されることがあるよ。
気を付けてね。