カラブリア州シラ国立公園。
標高1500m付近はなだらかな高原地帯が続き、この地域では長らく酪農が盛んにおこなわれてきました。
冬期はしっかり積雪するこの地域の生活必需品だった羊毛。
羊毛を取るための羊の飼育も各家庭でおこなわれ、羊毛加工業者・加工品に飾りを施す刺繍工房なども戦後すぐぐらいまでは大変多かった地域ですが、戦後の政府の政策もあり、羊毛を取るための羊からお乳を取るための羊(そもそも品種が違います)に飼育される羊がかわり、羊毛の生産が行われなくなります。
玉突き方式に羊毛加工工房もなくなり、カラブリア州にはなんと1軒を残すのみとなってしまいました。
工房見学の様子
現在、カラブリア州で羊毛の生産は行われていないので(個人が趣味でやっている場合は除く)、刈られた毛から糸への加工方法はサンプルで説明。
その後、糸から布への加工は全て自社で行っているので、実機を動かしながら加工の様子や方法、これまでの変遷を説明していただけます。
現在の社長兼メインデザイナーは友人のE。
ミラノでも活動していたデザイナーの彼は、やっぱりカラブリアが好きで戻って来ちゃった「出戻り」仲間です。
工房では、100年選手の機材を使い、古いパターンや新しいデザインのテキスタイルをたくさん発表しており、ネットショップでも1部を販売しています。
錆染とは
そしてこの地域、ラヴェンナ界隈の錆染め加工の技法がある一家によって伝えられた場所でもあります。
錆染は、鉄から取った錆を染料として染付を行う方法。
樹型に染料を塗り、スタンプの要領で布に押していく手法を取ります。
カラブリア州に移民してきたこの一家が持ってきたのがこちらの木型。
ひびが入ったり欠けたりしているけれど、このまま使います。この他に、友人Eがデザインした新柄のパターンもあります。
錆染工房は中部イタリアを中心に多々あるけれど、自社製で織っている布製品に染付しているのは、イタリアではおそらくここだけ。。(布の持ち込みも可能です)
注文数が多ければ、木型からオリジナルデザインも可能。
有名なご一家の結婚式などの際、家紋入りの布製品をオーダーすることも多いんですって。ちなみにこちらはシラ国立公園内のある村を治める貴族一家の家紋です。
工房見学、承ります
友人Eの好意もあって、こちらの羊毛加工工房、案内付きで見学することができるようになりました。
錆染め体験したい方は、もちろん体験可能。布巾やエプロンなどに好きな型を染付してもらい、出来上がった商品は発送します。(カラブリア滞在中に完成していたら、当地での引き渡しも可能)
すでにご案内したお客様たちからも好評で、オリジナルデザインを考え中の方もいらっしゃいます。
工房はちいさなショップも併設。
厚手の毛布から麻製品、アパレル関係まで豊富に揃います。凄く丈夫でおしゃれ&丁寧なつくりなので、我が家でも居間用の肌掛け(?)は全てここのもの。ガスガス洗ってもOKで重宝しています。
Lanificio Leo(☆)
via Cava 43, Soveria Mannelli