イタリアで車を運転するなら最低限の伊語が出来た方が良いと思う訳

イタリアで車を運転したいのだけれど、というお問い合わせを頂くことがあります。
旅行で、短期/長期滞在で、在住になるから。車が必要になるケースは色々あると思うのですが、私は「イタリアで車を運転するなら最低限のイタリア語必須」派です。

これには理由がありまして。
一番大きな理由は、事故が発生した場合、イタリアは基本的に当事者同士で話し合う事が普通だからです。
軽微な事故などの場合は保険屋さんを入れることは非常に稀で、お互いに事故や損害の状況を確認し文章に残します。連絡先の交換等もするし、場合によっては証人になってくれる方と今後について話を付ける必要もあります。

短期滞在者や旅行者が使われるであろうレンタカーは、保険の付帯サービスで事故発生時の電話等での通訳サービスや、例えば入院された際などには通訳派遣サービスもありますが、サービス提供開始までにちょっと時間がかかります。その間、相手が伊語しかできない人だったらどうするんですか?って事ですね。

まぁ事故にであう事自体がマレではあるし、軽微な事故や自損なら伊語が全くできなくても何とかなるでしょうけれど、なんだかオオゴトで救急車呼ばなきゃいけないとか、過失はないのに事故に巻き込まれたとか、相手が示談を求めているとかいう場合。特に都市部でない場所で、伊語も良く通じない相手にどうするんですかって思う事もあります。

ま、あれこれ書いてもなかなか通じないところがあると思うので、先日我が家の下の通りで発生した軽微な()事故の様子をご覧いただいて、イタリアではこんな風に事後処理するんだなって参考にされてください。

目次

朝起きたら、事故が発生していた。

ある日の朝。起床するしばらく前から外が騒がしいな、と思っていたら事故が発生していました。
我が家の下の通りは車同士の事故のメッカでして、まぁよくある事故かなと思っていたら、今日の事故は破損がだいぶ激しいじゃないですか。

バスは乗客を降ろしている最中。白い車の前が大きく破損しています。

事故にバスは関係なくて、オレンジで囲んだ2台が事故を起こした車です。
赤で囲んだ部分は実は大きくへこんでいて、この車は駐車中。オイル漏れとかはなさそうです。(そして後続が困っているところ)

状況から2台とも進行方向は同じ。前方が大破している車が鼻を向けている方向に進んでいたと思われます。で前方が大破している車が駐車中の車を追い抜きざまに接触したのかな。で、道路の真ん中に停車中の車が、相当強く当てられたのでUターンして(後続の迷惑考えず)路駐して…現在警察待ちしているってところでしょうか。

で、道路に出ている人たちが当事者2名&バスの運転手ですね。
この段階で、当事者間の怒鳴り合い()と今後どのように手続きするかの相互確認は済んでいます。加えて、事故の責任の割合を検証してもらうために警察、レッカー車等の手配も完了しています。

事故発生直後は近隣の建物の住民たちによって救護が必要かの確認もされ、まぁ当事者たちは幸いな事にぴんぴんしていたので…皆さま野次馬になっているところ。

私が車を運転するなら最低限のイタリア語は必要なんじゃないかな、と思うのは、まずこの段階で相手とコミュニケーションできなかったり、人気のいないところで事故を起こしてしまい救急車を呼ぶ!なんていう場合はどうするのかな、と他人事ながら心配になるからです。保険屋さんに救急車呼んでもらう訳にもいかないしね。

警察到着に1時間以上かかりました。

事故発生からおよそ1時間後に警察が到着。警察により、現場の交通整理も始まりました。

現場検証の後に路駐していた車は「もう行っていいですよ」と言われたらしく、さっさと事故現場を後にしました。相手に挨拶もしていなかった様子で、相当お怒りの模様。
なお、大きく破損した事故車はレッカー待ち&さらなる現場検証の立ち合い待ち中です。

現場検証の際、当たり前なのですが結構しっかりと事故発生状況を聞き取りします。
これ、保険屋さんの電話等経由する通訳サービスを使うことも出来ますが、通訳手配にも時間がかかるので、イタリア語が出来ないと事故現場でさらに待ち時間が発生する事になります。

レッカー車到着は事故発生からおよそ3時間後

事故発生からおよそ3時間経過し、レッカーが来ました。
これが辺鄙な場所だともっと時間がかかる可能性が高く、観光シーズンなどは大都市部でも「レッカーが出払っています」なんてことも多々あります。

その間、イタリア語が話せないとかなり高い確率で放置されるわけで。あまり好ましくないよなと思う次第。

そういえば…辺鄙な山間部でウチの車が燃え尽きた、なんてことがありました。
あの時は、レッカー到着まで2時間半ほどかかりました。ラッキーだったね。
車が燃え尽きた顛末とその後の新車購入に至る道()についてはこちらからどうぞ

ッカー到着と前後して、事故を起こした方のご家族(お母さんかな?)も到着。お迎えにいらしたみたいです。
警察は、病院や最寄り駅に付き添ったりはしてくれません。相当お願いすれば途中までは連れて行ってくれるかもしれないけれど、基本的に彼らの業務ではないので、自力で対応する事になります。

一方、レッカー車に同乗させてもらいレッカーの基地まで行くことは大抵可能ですが、時節柄、現在はマスク着用やワクチン打ってる?等、聞かれるかもしれませんね。

レッカーの基地が代車オフィスに近い場合は、ちょっと遠回りでもそこまで連れて行ってくれることが多いです。(商売仲間だしね) ただ、通常は自分で移動手段を何とかせばならず、ここでも、ある程度イタリア語が出来た方が良いのではないかなーと思う訳です。

レッカー車はすでに出発し、関係者だけが残っています。この事故、現場検証がかなり入念でした。何やらややこしい状況があるのかもしれません。
白いスニーカーの方(事故を起こしたと思われる車の運転手)が白い物を持っていますが、これが警察から発行された調書です。その場で記載し、内容を読み上げ確認しますが…これ、通訳が代行できたっけかな? 書面を通訳に送って同時に確認するので…手続きがとても大変そうです。 

自損(単独事故)でも物損でも人損でも、保険屋さんにすべて任せていますというやり方ももちろんありまして、伊語が全くできない方の場合は大抵そのように手続きします。

ただ、イタリアは携帯が通じない場所もありますしね。気象状況や山火事()で、いつもは電波入るのに!っていう場所もあります。
電波を拾える場所まで車両を移動させるにも、示談がデフォのイタリア人は非常に難色を示すと思います。そういったケースで相手と最低限話せるって言うのは、ある意味、運転する人にとって大切な事ではないかなと思う次第。

こんな事情から、単語集持参でも何でもよいので、英語が全く通じない相手に自分の権利を主張できるなり、救急車読んでください!と声を上げるなりの最低限度の会話能力はあった方が良いよなーと思う訳です。

さいごに

ところで現場では警察が残り、最後の後始末をしていました。
道路を綺麗にするのは彼らの仕事ではないですが、ざっと破片を集めて道路を綺麗にしています(エライ

事故発生からおよそ4時間半が経過。
また、いつも通りの交通が戻りました。
無事故でいられることが一番なのですが、貰い事故もありますし。イタリアにおいて「念のため」の準備はあって無駄になることは無いはずですよ。

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この記事を書いた人

澤井英里のアバター 澤井英里 Sawai Eri

イタリア半島の南端・カラブリア州在住。普段は専門職、趣味で現地コーディネーターやアテンド、通訳などをしています。一応ソムリエ。かに座のAB型。

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