カラブリア州コセンツァ県コセンツァ市から車で1時間ほど。
シラ国立公園内のサンジョバンニ・イン・フィオーレ(San Giovanni in Fiole)村が発祥と言われるのが、州を代表する郷土菓子となったピッタ ンピリヤータ(pitta ‘mpigliata)です。
サンジョバンニ・イン・フィオーレ村の若者たちのプロモーションや北イタリアに移住しているカラブリア人達の需要に応える形もあったりで、イタリア各地でひっそりと、少しずつ知名度を上げておりまして、地元民としては嬉しい限りです。
これがピッタンピリヤータ
我が家もクリスマス時期には必ず作ります。
今年は写真の様に1塊ずつ取りやすいように作りました。中心を高くしてブーケみたいに、などと思ったけれど、高くする必要無かったですね。
生地も美味しいので少し厚めに伸ばしてナッツ類を入れて焼き上げ、最後にはちみつをたっぷり回し掛けます。
サーブしやすいので好きな成型の仕方なのですが、気分で1つのケーキ(?)として大きく作る事もあって、こちらはお土産用にする事が多いです。
作っている際の様子はこちらで簡単にご紹介していますのでご参考にどうぞ。
ピッタンピリヤータなのかピッタンキューザなのか
コセンツァ県のお隣、州都を抱えるカタンツァーロ県ではピッタンキューザというお菓子が存在します。
見た目もとても良く似ているのですが、
この注意喚起も最早ネタですね。
本来は作る時期、成型方法、スパイスの使い方などが異なります。
それでも、その年に採れたもの・作ったものをどっさり入れるレシピなのでなんとなく似ている物になるのは仕方のないこと。現在ではほぼ混同されているようにも思います。
ピッタンピリヤータにしろピッタンキューザにしろ、ちいさな塊を集めて作ると、サーブの際に1塊ずつ取れて盛り付けも楽。
カラブリアの郷土菓子は得てして茶色くなりがちですが…クリスマスは特に渋い色味のお菓子が並びます。
色々なピッタンピリヤータ
ところで、コセンツァ県のピッタンピリヤータ。
発祥の村近郊、シラ国立公園内の村々や公園と接する地域で広く作られています。
要するに、古くは大変な贅沢品だったスパイスやはちみつ、その年に収穫できたナッツ類などをぎゅっと入れて作る豪華で特別なお菓子なので、地域によって微妙に、かなり様子が変わるのも面白いわけで。
お邪魔した先で出て来る自家製ピッタンピリヤータほど楽しみなお菓子は無いな、と思っています
生地の様子や具材に大きく地域差があるのはまぁ当然なのですが、頂き物や出して頂いたピッタンピリヤータに見つくしただろうと思っていた成型の仕方にちょっとした新しさを見つけた時は本当にうれしいもんです。
例えばこちら。1塊ずつ作るやり方でも土手の高い土台をつくって塊を乗せていく作り方、というのは目からうろこ。
こうすると、後から掛けるハチミツが流れ出さずに土台に残り、土台ごとしっとりします。
なるほどね…
恐らく生地もコレに合わせて、私が作る生地よりもかなりもっちり…に寄せた配合になっている様子。
この生地が、ハチミツ(シロップで伸ばしている様でした)を吸って、しっとりしたパンの様な食感になっているのも新鮮でした。
土手を切ると流れ出しちゃうけど。これもまたご愛敬でしょう。
シロップではちみつをパンプアップ(?)させる、というのも、こーいうやり方もあるんだなぁと勉強になりました。
はちみつ、高いもんね。
大きな地域差がある具材も、その土地の気候風土に根差した物なのでとても面白いです。
具材を揃えたり成型したりが意外と手間なのと、微妙に異なるレシピが多数存在するので絶対自家製が美味しいお菓子だと思っていて、その地域の、その村に伝わるレシピで作られたピッタンピリヤータを食べ比べるなんて、在住だからこその贅沢なんですが…再現し難いのが難点なのよね。
実は、長らく失われていた、そもそもの起源にまつわる書面が発見されたとかでサンジョバンニ・イン・フィオーレ村も賑わっており、この機会にもう一度しっかり学ぼうと思っている郷土菓子の1つです。
お料理レッスンでも人気のレシピですね。機会がありましたらぜひどうぞ。