カラブリア州の北部、特に山岳地帯の郷土菓子といったらまず名前が挙がるのがボッコノッティ(Bocconotti)。鉄型を使い、柔らかいタルト生地でサクランボのジャムを包み焼いた、素朴なお菓子です。
ボッコノッティの原型はフランスの影響を多大に受けたナポリ王宮菓子で、このレシピが陸路南下していくうちに、その土地にある素材で作られるようになったと言われる様々な派生レシピが各地に存在しています。
カラブリア州のボッコノッティ発祥の地は、バシリカータ州との州境の村であるモルマンノ。ポッリーノ国立公園内にある、山岳部の小さな村が発祥とされています。
元祖レシピはサクランボのジャムを使いますが、現在では「家にあるジャム」を使うのが普通。個人的にアンズや洋ナシ、プルーンやかんきつ類ミックスなどが美味だと思います♡
平地の少ない山岳地域ではとてつもなく飼葉が必要な牛を飼うことができなかったので、バターはありませんでした。よって、タルト生地に使われる油分は豚の油。現在でも自家製のラードを使わないとボッコノッティじゃない!という主婦は多く、私も味が全く異なってしまうバターを使った生地にはちょっと抵抗があります。
現在、ボッコノッティはカラブリア州コセンツァ県のあちこちで作られていて、それぞれの家庭にそれぞれのレシピがあります。先日は、某お祝いの為にボッコノッティの大量生産が必要だった友人宅にお手伝いに。振る舞い菓子として作られたボッコノッティはなんと500個。朝から晩まで焼いてました・・・
伝統に則り、友人宅では巻き窯で焼き上げます。私は全く火の調整とか出来ないので・・とにかく感心することばかり。
温度調節も、まるで温度計を持っているかのように正確で、長年培ったカンというか技術は凄いもんだなぁと。。そもそもこんな巻き窯を室内に持ってるってどーいう事なんですか?(笑
最後の方にはもう見たくないカンジでもあった(笑)ボッコノッティで一休み♪
生地にレモンの皮が入ってさっぱり風味なのと、豚油のお陰でさっくさくの生地、さらに自家製ジャムの柔らかな甘味がキケンなお菓子です。
カラブリア州内でも地域によって・家庭によって微妙に異なるボッコノッティ。あちこちで試食してみるのも面白いかも♡